SS3A感想 前編 ―― 現実世界の憧れの存在となったシンデレラガールズ

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS SS3A Live Sound Booth♪」に参加された皆様、お疲れさまでした。私は幸運にも日曜日のチケットが当選し、現地で参加することが出来ました。土曜日も東京都内でのLVに参加、さらに終了翌日の月曜日も観光に充て、今回は2泊3日の行程で遠征となりました。

 SS3Aは「デレステ3周年記念のイベント(ライブ中心)」みたいな言い方をされていたので、純粋な「ライブ」ではない、3月に開催された「シンデレラガールズ劇場 すぷりんぐふぇすてぃばる」のように、トークパートもあるけどライブ成分多め、みたいな感じなのかな?という想像をしていました。

 しかし、実際蓋を開けてみると、

  がっつりライブやんけ!!!

  ていうか、いつもの周年ライブよりもライブしとるやんけ!!!

 なんてったってこの構成。

  とどけアイドル→軽い挨拶→12曲→MC→13曲→MC→おねシン

 周年ライブってだいたい8曲くらいやってMC1回、くらいのバランスで、合計3~4回くらいはMCがあるイメージなので、それに比べると、連続披露曲数といい、MC回数の少なさといい、明らかに音楽ライブ成分を前面に打ち出したイベントでした。

 事前に予告されていた通り、今回は既存楽曲のリアレンジ・リミックス版が数多く披露されました。今までのライブでは定番であった曲たちも、イントロドンが通用しないため、常に「何の曲だろう?」という新鮮な気持ちで臨めたのは面白いポイントの一つでした。
 初めてライブに参加する方は、コールの入れ方がわからない……といった不安を抱えていることが多いかと思います。ただ、このSS3Aについては、歴戦の方であっても、何の曲かわからなかったり、曲がわかってもアレンジが違うのでいつものようなコールを入れられなかったりしたでしょうし、そういった意味では、全員が同じ条件でライブを楽しめたのかな、と感じています。

 また、こうしたリアレンジ・リミックス曲を歌うために起用されたメンバーは、既存のユニットにとらわれない形で構成されていました。デレステ3周年のイベントということもあり、「自分の好きなようにアイドルを組み合わせてMVを再生できる」という、デレステの大きな特徴を意識したものと思います。先日行われたミリオンの5thライブでも、同様の特徴を持ったゲームであるミリシタを意識し、オリジナルメンバー以外の起用がされていました。今までにない組み合わせのアイドルたちがステージに上がると、彼女らにどういう絡みが生まれるのだろう?という妄想も膨らみますね。

 加えて、まだライブでの披露がなかった曲の数々も含め、多くのデレステイベント曲が披露されました。「モーレツ★世直しギルティ!」や、「∀NSWER」などは、5thツアーでは叶わなかったオリジナルメンバー勢揃いが実現したこともあり、大いに盛り上がりを見せていましたね。

 さて、いつもライブの感想はセットリスト順に各曲について箇条書きをしていく感じなのですが、今回は趣向を変えて、特に印象に残った演者さんを何人か取り上げてお話ししたいと思います。

原田彩楓さん(三船美優役)
 以前のシンデレラガールズ総選挙の記事で、初ステージから5thツアーにかけての成長ぶりについて紹介しました。今回は、初めてのソロ曲「Last Kiss」を披露したわけですが、そのパフォーマンスは、5thツアーまでの原田さんとは一線を画したものでした。緊張による震えなどは全くなく、堂々とした立ち振る舞い。切なげに歌い上げるその姿は、まさに大人の女性・三船美優でした。あと、緊張が解けて余裕が出てきたのか、なんとなく最後のMCに一門感がにじみ出てきたような気もしますね……w

花井美春さん(村上巴役)
 試聴動画が公開される前から、制作陣の名前だけで「すごい演歌が来るのでは?」とざわついた「おんなの道は星の道」。楽曲が世に出るやいなや、予想通りのガチ演歌、そしてそれを見事に歌いこなす民謡仕込みの歌唱力で、一躍話題となりました。多くのプロデューサーが、これを生のステージで聞いてみたいと思っていたでしょう。その機会がついにやってきました。花井さんが言うとおりの「喉からCD音源」。そしてそれに応えるプロデューサーの拍手、「お嬢!」という掛け声(無論、私も言いました)。あの瞬間はまさに歌謡コンサートでした。

小市眞琴さん(結城晴役)
 この方はとにかくこのステージが楽しくて仕方なかったんだと思います。MC中に急に踊り出すわ、ワインの瓶持ってっちゃうわ、極めつけに「感想はSNSに書くのでチャントやろうぜチャント!」ときたもんだ。
そうした中、新規メンバーの中で最もダンスがキレッキレだった点は見逃せません。手足が長くてスタイルが良いことも、ダンスが映えた要因ですね。
「always」の歌い出しを聞いたとき、もしかしたら、あまりバラードを歌うのが得意ではないのかな?という感じを受けました。だけど、なんとなく、彼女が演じる晴も、どっちかというとバラードでしっとりと感謝を伝えるタイプのキャラクターではないだろうなあと思えてきて、かえって、小市さんと晴が重なって見えてきました。

深川芹亜さん(喜多日菜子役)
森下来奈さん(鷹富士茄子役)
神谷早矢佳さん(南条光役)
 先日の第7回総選挙により、新規ボイスが実装されたアイドルの演者となった3人。
初日は、「EVERMORE」のイントロと共にアイドル3人のシルエットが画面に映し出され、大きな歓声とともに迎えられました。これの何がいいって「EVERMORE」という選曲。3人にとって、シンデレラガールズとして人前に出るのはこのSS3Aが初めてになるのですが、彼女たちが一番最初に歌う歌詞が「ずっと憶えてる 初めての日のステージ」なわけですよ。今後彼女たちがシンデレラガールズとして歩んで行くにあたって、その歌詞の通り、決して忘れることのできないステージになったはずです。
 そして、2日目の「Trust me」。SS3Aで総選挙曲が披露されるんじゃないかなあ、とは予想していたので、その予想が当たったには当たったのですが、出てきた曲は全く想像していなかった、ゴリゴリのラップを含んだ激熱ロック。いきなりこんな曲を与えられて、3人にとってはものすごく大きな挑戦になったと思いますが、全く物怖じしない、全力全開のパフォーマンスに、会場のハコユレLvもブチ上がりました。ところで、これ総選挙曲だから、安部菜々さんが歌うんですよね…と考えると、いったいどんな出来上がりになるのか想像もつかなくて、早くCD買わせてくれ!!という思いでいっぱいです。
 3人の中で特に異色なのが神谷さん。春に声優デビューして、1つ目のオーディションがシンデレラガールズで、いきなり受かって、声優として初めて人前に出る仕事が「1万人弱収容の会場で歌って踊ること」。事実は小説よりも奇なり、シンデレラもびっくりのシンデレラストーリーです。全く緊張している感じがなかったのですが、逆に、今までのステージ経験値がゼロで、何も知らないからこそ、気負うものがなくて全力でぶつけられたのかな、と思います。
総選挙記事で紹介した原田さんについてもそうでしたが、新規ボイス担当の声優さんの成長を見守るのが、私がシンデレラガールズというコンテンツを追う上での大きな楽しみの一つです。3人のこれからの活躍に、期待したいです。

会沢紗弥さん(関裕美役)
 もともと、シンデレラガールズ佐久間まゆ担当プロデューサーとしてゲームを楽しんでいた会沢さん。自身がシンデレラガールズのオーディションを受けられることになり、喜びのままガシャを回したらSSRの関裕美が当たり、それに運命を感じて関裕美役を受けて合格したというエピソードを持っています(このおかげでDestiny会沢略してデス沢とか言われている)。
 今回、関裕美のソロ曲「楽園」が初披露となりました。関裕美担当プロデューサーをはじめ、多くの皆さんがこれを喜んだと思いますが、きっと、誰よりも喜んだのが、会沢さん自身のはずです。
 1日目、落ちサビからラスサビにかけての会沢さんは、声も震え、今にも泣き出しそうな表情でした。あこがれていたシンデレラガールズとしてステージに立てる喜び、それが溢れた嬉し泣き。でも、ギリギリのところで踏みとどまって、なんとか歌い切りました。「しかめっ面で上手く笑顔を作れなかったけど、アイドルになって笑顔を振りまく存在になる」という関裕美のシンデレラストーリーがあるから、ステージ上では笑顔でいなきゃいけない、そんな強い決心が、会沢さんの中にあったのだと思います。
 そして2日目。そこにいたのは、涙を我慢した笑顔ではない、心からの笑顔で歌う会沢さんでした。最後まで笑顔で歌い切ったのを見届けた時、何かほっとしたような安堵感や、おめでとう、よかったね、という祝福の気持ち……いろんな気持ちが溢れてきて、思わず、涙がこぼれました。

 さて、佐久間まゆ担当プロデューサーとしてゲームを楽しんでいた会沢さんですが、このほかにも、もともと晴が好きで、ファンアートを頻繁に描いている小市さん、誰担当なのかはまだ語られていませんが、プロデューサーだという神谷さんなど、今回、「もともとプロデューサーとしてシンデレラガールズのゲームを楽しんでいた人たち」が数多くステージに上がりました。彼女たちも、もしかしたら、これまでのライブで、我々同様客席からアイドルに声援を送っていたのかも……。いつかの公演(5thの石川?)で、三村かなこ役大坪由佳さんが、客席に向かって「次のシンデレラは、あなたかもしれません」といった趣旨のことをお話しされていた記憶がありますが、その通りのことが起こったのかもしれません。
 作中世界において、シンデレラガールズ達は、女の子たちのあこがれのアイドルです。しかし、モバゲー版のサービス開始からもうすぐ7周年という月日が経った今、もともとゲームをプレイしていたという会沢さんや小市さん、神谷さんがシンデレラガールズの演者となり、「女の子の憧れの存在としてのシンデレラガールズ」は、すでに作中世界だけのものではなく、現実のものになったと言っても良いでしょう。

 新たなメンバーも加わり、これからも新たな憧れを作っていくシンデレラガールズ。ますます、追う楽しみが増えたなあと感じられる公演でした。本当にありがとうございました!

 ところで、今回のSS3A開催にあたっては、会場である前橋市が後援として入り、さまざまなコラボレーション企画が実施されました。これについての感想を、次の記事で述べたいと思います。