THE@TER CHALLENGE!! を終えて(戦略編)――38の旗の下に

 THE@TER CHALLENGE!!(以下TC)、お疲れ様でした。今回もさまざまな熱き戦いが繰り広げられました。ミリオンライブのキャスティング投票企画はこれが3回目となりますが、私が参画したのは今回が初めてだったので、感想をまとめておこうと思います。
 この項では、期間中の戦略について取り上げて紹介します。全体的な感想は、感想編で。

3.美也Discord「みゃおこ~ど」への参加――役イメージのヒントを得るために

 投票先も決まったところで、毎日ちまちまと投票券を集め始める生活が始まります。美也に投票するにあたって、TBにおける美也陣営の動きを調べてみたところ、「38時間一斉投票」というインパクトのある企画を打ち立て、その結果大逆転をし三姉妹カフェ・ネコ役を勝ち取った、ということがわかりました。今回も何かそういう企画があるのだろうと思い、どちらかというと票を温存していくスタイルを取りました。私はTBにもまったく参画していませんでしたし、もともと美也担当だったわけでもありません。そのため、コンベンションセンターを逐次確認しつつ、そういう動きが見えたら従って乗っていこう、と考えていました。

 転機になったのは、琴葉陣営のファイナルデイへの鞍替えでした。琴葉陣営は「孤島サスペンスホラー」の「主人公」役を投票先としていたのですが、主人公役では、茜陣営が #茜ちゃん絶対に島流しにするからね のタグの効果でバズりにバズりまくり、序盤からものすごいスタートダッシュを決めていました。この結果を見て、いち早く投票先をファイナルデイに切り替えることにしたようです。12月20日の夜には琴葉陣営の一斉投票も行われ、琴葉が2位、美也が3位という状態になりました。
(※この鞍替えに関してはいろいろ問題があったそうで、この文章は事実と異なる可能性がありますが、あくまで私の当時の認識に基づいて記述しています)

 この状況を見て、私はちょっと危機感を覚えました。琴葉には、グリー版ミリオンライブのイベント「アイドルヒーローズ」において、悪の組織「デストルドー」の総帥を演じた経験がありますし、TBのラスト・アクトレスも結果的に狂気を感じられる殺人犯という役柄でした。そのため、悪役っぽいファイナルデイ役へのハマり具合と明確さという点では、琴葉の方に分があるのは明らかで、特定の投票先を持たない浮動層から見ても、投票先になりやすいことが予想されました。
 この状況を打開するためには、ファイナルデイを演じる美也とはいったいどういう姿なのか?を発信していかねばなりません。しかし、私自身も、ファイナルデイを演じる美也について、もやーっとしたイメージはあるものの、うまく言葉で表現できず悩んでいました。こういった話を、美也のコンベンションセンターで打ち明けてみたところ、「Discordで役のイメージについて話し合っているらしいので、参加してみては?」という提案を受けました。自分以外の人がどういった役イメージを持っているのだろう?という点も気になっていたため、かくして、これまで自分のお気に入りのアイドルのDiscordにすら参加したことがなかったにもかかわらず、宮尾美也の担当プロデューサーが集まるDiscord「みゃおこ~ど」に参加する運びとなりました。

 すると、Discord内でも、ファイナルデイを演じる美也についてのイメージの発信が弱いことが課題になっていて、その理由として「各人によるファイナルデイ美也のイメージがばらばらなこと」が挙げられていました。しかし、やはりここは経験のあるプロデューサーの皆様の集まりであり、妙案が生まれるものです。イメージがばらばらなのを逆手にとって、一つに絞られないさまざまなイメージを発信し、より多くの人のハートをつかもう、という方針になりました。この発信が、 #FD美也の可能性 というハッシュタグです。私も、アイコンのイラストを美也にすると同時に、このタグを使って役のイメージについてツイートしました。

4.より主体的な参加へ――自分の経験を生かした広告戦略

 基本的には「ζノ ・ิᴗ・ิ) <みゃおみゃ〜」の顔文字があふれてまったりとしたムードの美也陣営でしたが、琴葉陣営が参戦してきてから3位の状態にあり、1位の春香との差も徐々に開いていたころ、さすがにこのままでは良くないのでは?もっと攻めていかなければいけないのでは?という意見が出て、ちょっと厳しいムードになった瞬間がありました。何も知らない私が首を突っ込んでも良くないと思ったため、このときはただ見ているだけになったのですが、こうした瞬間であっても、先輩プロデューサーの皆様が、波風が立つような状況にせず、きちんと意見を聞いたうえですぐに対応策を打ち出していく流れを見て、さすがだなあ、と思った次第です。
 その結果、はじめはクリスマスミッションとして、宮尾美也の語呂合わせである38038票を達成することを目標とし、その後も細かく票数達成ミッションが続けて打ち出されました。こうした流れで順調に票が伸びていき、2位に返り咲くこととなり、一時、1位の春香との差は6000票程度にまで縮まりました。
 ただ、この直後に春香陣営で一斉投票が行われたため、これ以降、10万票程度の差がある状態が続くことになりました。もちろんこうした状態を放置せず、新たな作戦についての検討は継続して行われていました。年明けから「イチドイッチ作戦」「ニドイッチ作戦」を段階的に実施、そして1月13日から、6日間にわたる大型作戦「サンドイッチ作戦」が始まりました。
 TCの投票期間も終盤に差し掛かっており、このサンドイッチ作戦の実施にあたっては、これまで静観気味だった私も、できるだけ主体的に参加していこうと意を決しました。

 まずサンドイッチ作戦がどのような作戦なのかが一目でわかる画像をツイートし、それにぶら下げる形でこのツイートをつけました。

 私が重要だと思っていたのは、画像ツイートで終わるのではなくて、一緒にこのツイートをつけることでした。

 特に同人作家の皆さんなら経験があると思います。「作品の告知ツイートより、どうでもいいネタツイートの方が伸びる」ということ。なので最近はバズったネタツイートに告知ツイートをぶら下げるなんていう定型ができたりもしています。つまり、ツイートの伸びに必要なのはinterestingではなくfunnyの面白さ。だから私は、このTCにおいても、funnyが感じられるツイートが必要だと思ったのです。#茜ちゃん絶対に島流しにするからね がバズったことはその確たる証拠です。

 前述したとおり、美也陣営はTBにおいて「38時間一斉投票」を実行し、一斉って言ってるのに38時間も幅があるとは何事か?というようなところから火がついています。言葉は悪いですが、アホみたいな作戦です(もちろんいい意味で)。そのため、これまで美也に投票した人も、そうでない人も、おそらく「今回は一体どんなアホな作戦をやってくれるのだろう?」という期待をしていると考え、画像ツイートだけでなく、今回のサンドイッチ作戦のアホさ=一斉って言ってるのに何時間もやってるし何日もやってる、という面を強調していくことにしました。その後も、サンドイッチ作戦の一斉投票開始時刻である18時の少し前に、この類のツイートを続けています。

※このツイート、8時間を6時間と書き間違えてしまいました。でもRTが走り始めたのでそのままに……。

5.ラスト38時間のお祭り騒ぎ――呪いではなくブランド

 サンドイッチ作戦の最中、宮尾美也役の桐谷蝶々さんのお誕生日が重なったことなどもあり、若干票差が縮まった瞬間があったものの、春香陣営は手堅く、開いた票差をなかなか埋められずにいました。サンドイッチ作戦の一斉投票は18日の18時からの回で最後、投票最終日の19日についてはサンドイッチ作戦の範囲外。最終日に向けて、何か打ち出さないと……という認識はDiscordの中にもありましたが、なかなかいい策が出ずにいました。私もさすがに黙って見てるだけではいけないな、と一斉投票の企画案を考えてはみたものの、自分を含めていまいち納得できる形に仕立てられず。
 先輩プロデューサーの皆様が頭を悩ませていた原因が、「TBで38時間一斉投票が大成功してしまったこと」。今回は曜日配列の問題もあり、38時間を開催するタイミングがつかめない。前回と同じように38時間をやって成功するとは限らない。もし38時間をやっても追いつけなかったら、陣営のモチベーションが一気に消失してしまってそれ以降勝ち目がない。こうした状況であり、38時間投票の呪いにかかってしまった、という表現をされるほどでした。

 そんな中、その瞬間は訪れました。1月18日午前9時59分。TCの投票終了の「38時間前」です。#38時間ファイナル一斉投票デイ というタグとともに、ラスト38時間の一斉投票を呼びかけるツイートが出現しました。「出現しました」という書き方なのは、実はこれ、Discordでもコンベンションセンターでも事前にやろうと思って決めたことではないからなんです。あるプロデューサーさんが、勇気を持って賭けに出たツイートでした。
 しかしその結果、「今回も38時間やるのか!」という反応とともに、票数が伸び始めました。これを受けて、後追いの形で陣営みんながこれに協調していく形となります。38時間ファイナル一斉投票デイが始まった段階では、まだサンドイッチ作戦の18日の回が残っています。作戦が重ね掛けになるというカオス状態、悪く言えば統率が取れていないかもしれないのですが、あえてその状況についてfunnyに取り上げてしまい、また、38時間ファイナル一斉投票デイが始まった経緯もfunnyに表現してしまおうという意図で、「なんてこった美也陣営」を共通キーワードにして広告ツイートを連続で打ちました。

さらに、このTCに際して制作された「美也神社」というサイトでは、擬似的に投票を行うことができる「お投票箱」というページが用意されていたこともあり、「投票券がなくても投票できる」というfunnyさについても強調しました。

 そして最終日、私の広告ツイートの中でも一番RT・favが伸びたのがこのツイートです。

 38時間というのもそうですが、とにかく「38」「38038」という数字にこだわりのある美也陣営の皆さん。徹底的に38にこだわっていこうと思い、「時刻が並んでいる」というところから、最後は鉄道オタクらしく時刻表を作ったのですが、これが美也陣営以外の方にも面白がっていただけたようです。
 こうして最終日に追い上げを見せた美也陣営ですが、春香陣営が元から計画していた最終日の段階的な一斉投票には及ばず、最終的には30万票程度の差がついたまま終了となりました。

 しかし、私は感じました。美也陣営においての「38時間一斉投票」は、呪いではなく、もはや信頼の置けるブランドになっている、と。あのときの「今回も38時間やるのか!」というみんなの反応が、それを物語っています。私がこのTCで大事にしていた“funny”、その極みだったのかもしれません。
 こうした投票企画が今後も行われるかはわかりませんし、今回一度の投票参加で言うのもふさわしくないかと思いますが、個人的には、38時間一斉投票を軸にしてそれ以外の作戦を考える、という方向もありなのかな、と思います。もちろん、38時間一斉投票がブランドであるという事実は、今回他の陣営の皆さんも認識したことでしょうから、同役を争うことになった陣営は、それへの対抗策を講じてくることは想像に難くありません。その一歩上を行く作戦を打ち出すことができれば、きっと次の役を勝ち取ることができるでしょう。美也陣営の皆さんにはきっとそういう力がある。私は今回の参画からそう信じることができます。

 美也陣営の皆様、TCに際していきなり加わった私を、暖かく出迎えていただき、Discordでの提案についても様々なご意見をいただけたこと、また各種ツイートを拡散していただけたことに、改めてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 このあと、TCを終えた感想が感想編に続きます。