#劇場版スタァライト における丸ノ内線について(大したことは書いてません)
世間の評判のとおりすごい映画だったので、長文感想を書きたいのだけども、とりあえずここは鉄道オタクの私らしく電車についての話を軽くまとめておく。でもほとんどの人が気づいてるだろうから大したことじゃない。
一応、ネタバレ要素もあるので注意。
1.なぜ電車なのか
これについてはパンフレットで古川監督が説明しているのでここでは割愛。検索すると「地下鉄乗るとドキドキするようになった」といった類のツイートが多く見られるので、古川監督が電車を題材として取り上げた狙いは成功しているようだ。
2.なぜE233系なのか
これも同上。これにもちゃんと理由があるとは思わなかった。確かに、E233系列の総両数は3,287両で、JRグループの中での最多形式(Wikipediaより)である。
3.なぜ丸ノ内線なのか
今回私がお話ししたいのはここ。
(Google Mapより)
作中、空撮でトンネルに電車が入っていくシーンがあるが、それはこの写真の場所。地下鉄といいつつ地上に出ている四ツ谷駅から、丸ノ内線が再度地下のトンネルに潜るところである。なお、東京メトロの路線である丸ノ内線なのにもかかわらず、JRの車両であるE233系になっている理由は前段の通り。
さて、この先の丸ノ内線にはどんな駅があるだろうか?
そして次の駅は、銀座である。
ここであっ、と気づいた方もいらっしゃることだろう。ワイルドスクリーンバロックの開演を宣言したキリンが立っていた場所。
時計塔がシンボルの和光本店がそびえ立つ、銀座四丁目交差点である。
では、聖翔99期生の面々が丸ノ内線(らしき路線)に乗っていた理由はというと、新国立第一歌劇団の見学に行くためである。
新国立第一歌劇団の劇場の外観もわずかながら作中で確認することができたが、元ネタになっていることが明らかな実在の歌劇団の存在を考慮しても、東京宝塚劇場がモチーフであろう。
そんな東京宝塚劇場はどこにあるかというと、有楽町である。有楽町と銀座は隣接地域であり、徒歩圏内。イコールであると考えても良い。
そして、聖翔99期生たちが暮らす寮「星光館」は、近隣の風景描写からして杉並区荻窪近辺にありそうだ。
地下鉄丸ノ内線に乗れば、「星光館から新国立第一歌劇団劇場」、つまり「荻窪から有楽町≒銀座」に乗換なしで行くことができる。それならば、丸ノ内線を使うのも大いに納得できる。
なんでわざわざ書き留めたかというと、思いっきりファンタジーなように見せかけて、実はこういうところに矛盾なく成立している要素があるっていうのが面白かったから。
ただ、この記事を書いている間にいろいろと思った。
ここでの丸ノ内線、乗換なしの列車っていうのは非常に楽ちん。何も考えなくても目的地に着く。でも、それってもしかしたら、何もしない、挑戦しない、新しい道に踏み出さない、死せる舞台少女のメタファーであるのかもしれない。その後、そんな丸ノ内線の電車を舞台にして「皆殺しのレヴュー」が始まって、電車の舞台でみんな血みどろになって、「もう死んでる」と言われるわけだし。
制作陣がそこまで考えて作ったのかどうかはわからないけど、こういう風にちょっとしたシーンに対してもいろんな考察をしたくなってしまう。それこそがこの映画の魅力なんだとは思う。