THE@TER CHALLENGE!! を終えて(戦略編)――38の旗の下に

 THE@TER CHALLENGE!!(以下TC)、お疲れ様でした。今回もさまざまな熱き戦いが繰り広げられました。ミリオンライブのキャスティング投票企画はこれが3回目となりますが、私が参画したのは今回が初めてだったので、感想をまとめておこうと思います。
 この項では、期間中の戦略について取り上げて紹介します。全体的な感想は、感想編で。

3.美也Discord「みゃおこ~ど」への参加――役イメージのヒントを得るために

 投票先も決まったところで、毎日ちまちまと投票券を集め始める生活が始まります。美也に投票するにあたって、TBにおける美也陣営の動きを調べてみたところ、「38時間一斉投票」というインパクトのある企画を打ち立て、その結果大逆転をし三姉妹カフェ・ネコ役を勝ち取った、ということがわかりました。今回も何かそういう企画があるのだろうと思い、どちらかというと票を温存していくスタイルを取りました。私はTBにもまったく参画していませんでしたし、もともと美也担当だったわけでもありません。そのため、コンベンションセンターを逐次確認しつつ、そういう動きが見えたら従って乗っていこう、と考えていました。

 転機になったのは、琴葉陣営のファイナルデイへの鞍替えでした。琴葉陣営は「孤島サスペンスホラー」の「主人公」役を投票先としていたのですが、主人公役では、茜陣営が #茜ちゃん絶対に島流しにするからね のタグの効果でバズりにバズりまくり、序盤からものすごいスタートダッシュを決めていました。この結果を見て、いち早く投票先をファイナルデイに切り替えることにしたようです。12月20日の夜には琴葉陣営の一斉投票も行われ、琴葉が2位、美也が3位という状態になりました。
(※この鞍替えに関してはいろいろ問題があったそうで、この文章は事実と異なる可能性がありますが、あくまで私の当時の認識に基づいて記述しています)

 この状況を見て、私はちょっと危機感を覚えました。琴葉には、グリー版ミリオンライブのイベント「アイドルヒーローズ」において、悪の組織「デストルドー」の総帥を演じた経験がありますし、TBのラスト・アクトレスも結果的に狂気を感じられる殺人犯という役柄でした。そのため、悪役っぽいファイナルデイ役へのハマり具合と明確さという点では、琴葉の方に分があるのは明らかで、特定の投票先を持たない浮動層から見ても、投票先になりやすいことが予想されました。
 この状況を打開するためには、ファイナルデイを演じる美也とはいったいどういう姿なのか?を発信していかねばなりません。しかし、私自身も、ファイナルデイを演じる美也について、もやーっとしたイメージはあるものの、うまく言葉で表現できず悩んでいました。こういった話を、美也のコンベンションセンターで打ち明けてみたところ、「Discordで役のイメージについて話し合っているらしいので、参加してみては?」という提案を受けました。自分以外の人がどういった役イメージを持っているのだろう?という点も気になっていたため、かくして、これまで自分のお気に入りのアイドルのDiscordにすら参加したことがなかったにもかかわらず、宮尾美也の担当プロデューサーが集まるDiscord「みゃおこ~ど」に参加する運びとなりました。

 すると、Discord内でも、ファイナルデイを演じる美也についてのイメージの発信が弱いことが課題になっていて、その理由として「各人によるファイナルデイ美也のイメージがばらばらなこと」が挙げられていました。しかし、やはりここは経験のあるプロデューサーの皆様の集まりであり、妙案が生まれるものです。イメージがばらばらなのを逆手にとって、一つに絞られないさまざまなイメージを発信し、より多くの人のハートをつかもう、という方針になりました。この発信が、 #FD美也の可能性 というハッシュタグです。私も、アイコンのイラストを美也にすると同時に、このタグを使って役のイメージについてツイートしました。

4.より主体的な参加へ――自分の経験を生かした広告戦略

 基本的には「ζノ ・ิᴗ・ิ) <みゃおみゃ〜」の顔文字があふれてまったりとしたムードの美也陣営でしたが、琴葉陣営が参戦してきてから3位の状態にあり、1位の春香との差も徐々に開いていたころ、さすがにこのままでは良くないのでは?もっと攻めていかなければいけないのでは?という意見が出て、ちょっと厳しいムードになった瞬間がありました。何も知らない私が首を突っ込んでも良くないと思ったため、このときはただ見ているだけになったのですが、こうした瞬間であっても、先輩プロデューサーの皆様が、波風が立つような状況にせず、きちんと意見を聞いたうえですぐに対応策を打ち出していく流れを見て、さすがだなあ、と思った次第です。
 その結果、はじめはクリスマスミッションとして、宮尾美也の語呂合わせである38038票を達成することを目標とし、その後も細かく票数達成ミッションが続けて打ち出されました。こうした流れで順調に票が伸びていき、2位に返り咲くこととなり、一時、1位の春香との差は6000票程度にまで縮まりました。
 ただ、この直後に春香陣営で一斉投票が行われたため、これ以降、10万票程度の差がある状態が続くことになりました。もちろんこうした状態を放置せず、新たな作戦についての検討は継続して行われていました。年明けから「イチドイッチ作戦」「ニドイッチ作戦」を段階的に実施、そして1月13日から、6日間にわたる大型作戦「サンドイッチ作戦」が始まりました。
 TCの投票期間も終盤に差し掛かっており、このサンドイッチ作戦の実施にあたっては、これまで静観気味だった私も、できるだけ主体的に参加していこうと意を決しました。

 まずサンドイッチ作戦がどのような作戦なのかが一目でわかる画像をツイートし、それにぶら下げる形でこのツイートをつけました。

 私が重要だと思っていたのは、画像ツイートで終わるのではなくて、一緒にこのツイートをつけることでした。

 特に同人作家の皆さんなら経験があると思います。「作品の告知ツイートより、どうでもいいネタツイートの方が伸びる」ということ。なので最近はバズったネタツイートに告知ツイートをぶら下げるなんていう定型ができたりもしています。つまり、ツイートの伸びに必要なのはinterestingではなくfunnyの面白さ。だから私は、このTCにおいても、funnyが感じられるツイートが必要だと思ったのです。#茜ちゃん絶対に島流しにするからね がバズったことはその確たる証拠です。

 前述したとおり、美也陣営はTBにおいて「38時間一斉投票」を実行し、一斉って言ってるのに38時間も幅があるとは何事か?というようなところから火がついています。言葉は悪いですが、アホみたいな作戦です(もちろんいい意味で)。そのため、これまで美也に投票した人も、そうでない人も、おそらく「今回は一体どんなアホな作戦をやってくれるのだろう?」という期待をしていると考え、画像ツイートだけでなく、今回のサンドイッチ作戦のアホさ=一斉って言ってるのに何時間もやってるし何日もやってる、という面を強調していくことにしました。その後も、サンドイッチ作戦の一斉投票開始時刻である18時の少し前に、この類のツイートを続けています。

※このツイート、8時間を6時間と書き間違えてしまいました。でもRTが走り始めたのでそのままに……。

5.ラスト38時間のお祭り騒ぎ――呪いではなくブランド

 サンドイッチ作戦の最中、宮尾美也役の桐谷蝶々さんのお誕生日が重なったことなどもあり、若干票差が縮まった瞬間があったものの、春香陣営は手堅く、開いた票差をなかなか埋められずにいました。サンドイッチ作戦の一斉投票は18日の18時からの回で最後、投票最終日の19日についてはサンドイッチ作戦の範囲外。最終日に向けて、何か打ち出さないと……という認識はDiscordの中にもありましたが、なかなかいい策が出ずにいました。私もさすがに黙って見てるだけではいけないな、と一斉投票の企画案を考えてはみたものの、自分を含めていまいち納得できる形に仕立てられず。
 先輩プロデューサーの皆様が頭を悩ませていた原因が、「TBで38時間一斉投票が大成功してしまったこと」。今回は曜日配列の問題もあり、38時間を開催するタイミングがつかめない。前回と同じように38時間をやって成功するとは限らない。もし38時間をやっても追いつけなかったら、陣営のモチベーションが一気に消失してしまってそれ以降勝ち目がない。こうした状況であり、38時間投票の呪いにかかってしまった、という表現をされるほどでした。

 そんな中、その瞬間は訪れました。1月18日午前9時59分。TCの投票終了の「38時間前」です。#38時間ファイナル一斉投票デイ というタグとともに、ラスト38時間の一斉投票を呼びかけるツイートが出現しました。「出現しました」という書き方なのは、実はこれ、Discordでもコンベンションセンターでも事前にやろうと思って決めたことではないからなんです。あるプロデューサーさんが、勇気を持って賭けに出たツイートでした。
 しかしその結果、「今回も38時間やるのか!」という反応とともに、票数が伸び始めました。これを受けて、後追いの形で陣営みんながこれに協調していく形となります。38時間ファイナル一斉投票デイが始まった段階では、まだサンドイッチ作戦の18日の回が残っています。作戦が重ね掛けになるというカオス状態、悪く言えば統率が取れていないかもしれないのですが、あえてその状況についてfunnyに取り上げてしまい、また、38時間ファイナル一斉投票デイが始まった経緯もfunnyに表現してしまおうという意図で、「なんてこった美也陣営」を共通キーワードにして広告ツイートを連続で打ちました。

さらに、このTCに際して制作された「美也神社」というサイトでは、擬似的に投票を行うことができる「お投票箱」というページが用意されていたこともあり、「投票券がなくても投票できる」というfunnyさについても強調しました。

 そして最終日、私の広告ツイートの中でも一番RT・favが伸びたのがこのツイートです。

 38時間というのもそうですが、とにかく「38」「38038」という数字にこだわりのある美也陣営の皆さん。徹底的に38にこだわっていこうと思い、「時刻が並んでいる」というところから、最後は鉄道オタクらしく時刻表を作ったのですが、これが美也陣営以外の方にも面白がっていただけたようです。
 こうして最終日に追い上げを見せた美也陣営ですが、春香陣営が元から計画していた最終日の段階的な一斉投票には及ばず、最終的には30万票程度の差がついたまま終了となりました。

 しかし、私は感じました。美也陣営においての「38時間一斉投票」は、呪いではなく、もはや信頼の置けるブランドになっている、と。あのときの「今回も38時間やるのか!」というみんなの反応が、それを物語っています。私がこのTCで大事にしていた“funny”、その極みだったのかもしれません。
 こうした投票企画が今後も行われるかはわかりませんし、今回一度の投票参加で言うのもふさわしくないかと思いますが、個人的には、38時間一斉投票を軸にしてそれ以外の作戦を考える、という方向もありなのかな、と思います。もちろん、38時間一斉投票がブランドであるという事実は、今回他の陣営の皆さんも認識したことでしょうから、同役を争うことになった陣営は、それへの対抗策を講じてくることは想像に難くありません。その一歩上を行く作戦を打ち出すことができれば、きっと次の役を勝ち取ることができるでしょう。美也陣営の皆さんにはきっとそういう力がある。私は今回の参画からそう信じることができます。

 美也陣営の皆様、TCに際していきなり加わった私を、暖かく出迎えていただき、Discordでの提案についても様々なご意見をいただけたこと、また各種ツイートを拡散していただけたことに、改めてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 このあと、TCを終えた感想が感想編に続きます。


THE@TER CHALLENGE!! を終えて(感想編)――私たちがプロデューサーさん

 THE@TER CHALLENGE!!(以下TC)、お疲れ様でした。今回もさまざまな熱き戦いが繰り広げられました。ミリオンライブのキャスティング投票企画はこれが3回目となりますが、私が参画したのは今回が初めてだったので、感想をまとめておこうと思います。

1.はじめから戦略ゲームだと思っていた

 ミリシタ自体は開始日から手元にあったものの、THE@TER BOOST!!(以下TB)にまったく参画していなかった私は、今回のTCに参加するにあたり、TBがどのような感じで進められていったのかを、先人の皆様が書いたブログ記事などを参考に確認しました。
 その結果、私が感じたのは、これは単なる投票企画ではなく、多人数で参加する戦略ゲームであるということです。TBについて調べると、各陣営ごとに狙う役を決めて、同じ役を争うほかの陣営の様子を見ながら、適宜一斉投票等のタイミングを設けて票数を伸ばしていく、というのが基本スタイルとして確立しているようでした。
 とはいえ、そもそも、純粋にやって欲しい役に入れるのであれば、各陣営ごとに狙う役を絞る必要もありませんし、コンベンションセンターも要りません。キャスティング投票企画と銘打っておきながら、「勝てる役」を考えながら票を入れていかなければいけないあたり、すでにキャスティング投票企画の体をなしていないという意見がありましたが、実際のところ私もそうだと思います。でも私は今回が初めてだったこともあってか、これはただの投票企画ではなく戦略ゲームであるのだ、という形で納得することができましたし、そういう戦略ゲームをやることに面白さを感じたので、はじめからそういう気持ちで取り組むことにしました。

2.投票先の決定――お芝居だからできること

 さて、戦略ゲームであることがわかったところで、投票先を決めて自分の戦略を練っていかねばなりません。ミリオンライブでお気に入りのアイドルは百合子と桃子ですが、今回は765ASも含めて52もの選択肢がありますので、これにとらわれず、アイドルと役のマッチングにティンときたところに入れようと考えていました。
 見て回りますと、大体はアイドルがもともと持っているキャラクターから容易に想像がつきそうな役柄を投票先としているようでした。しかし、ここでひとつだけ異彩を放っていた陣営がありました。それが美也陣営でした。

 投票先は、「近未来アウトサイダー」の「ファイナルデイ」。この役柄は、「アウトレイジ軍の頭(ヘッド)。混沌とした世界を自ら治めようとしている」という説明になっているほか、ファイナルデイは少女アマリリスを捕らえている、そもそもアウトレイジという英単語は暴虐という意味である、等々の要素から、「悪の総帥」ポジションであることが読み取れます。そんなところに、いつも穏やかでゆるふわ系アイドル(というイメージを私は持っていました)の美也をあてがおうとしていたわけです。
 大方のイメージとはかけ離れた役ではありますが、これに私はティンときてしまったのです。美也は基本的にいつも敬語(ですます調)です。そして、いつも穏やかでゆるふわ系アイドル、と表現しましたが、裏を返すと、感情の起伏があまり表に出てこないのです。こういった面を生かして悪役をやるとどうなるか、と考えると、「丁寧な言葉遣いで物腰柔らかそうに見えるけど、感情が読み取れなくて何企んでるのかわからない不気味な悪役」になるだろうなと想像できたと同時に、そういう悪役ってそそられるなー、という思いになりました。そして、ふと、TB「ラスト・アクトレス」コミュの一場面を思い出しました。





「被害者役もやってみたい」と言う百合子が、その理由を説明する場面です。芝居で役を演じるからこそ、普段の自分では決してできない経験ができる、その言葉が、美也が、普段の姿からはかけ離れた悪役を演じるというシチュエーションにぴったり当てはまると感じられたのです。
 こうして、私はファイナルデイ宮尾美也に投票することを決めました。

 ここから、実際の投票における戦略についての話は、戦略編で。

6.キャスティング投票企画は物語の終わりではない

 結果的に、美也はファイナルデイ役をつかみ取ることができませんでした。
 1位になれなかったアイドルは、今後同じような役を演じる道が閉ざされてしまう、というような意見を目にしました。でも、私は決してそんなことはないと思います。これまでのキャスティング投票企画でも、当該役の2位になったアイドルが別役で出演している例は多く、まだその可能性が残っています。2位だったけど出演しなかった、3位以下だったからそもそも出演のチャンスすらない……そこで諦めてしまうのももったいないと思います。

 TCの投票は終わりました。

 しかし、私たちの担当アイドルがその役につく姿、それを想像する権利が奪われたわけではありません

 TCの3本のストーリーの中身は、まだ誰も知りません。出てきたストーリーを聞いたら、また新たに、自分の担当アイドルがこのストーリーの世界で演じてほしいのはこんな役だなあ、なんて想像が生まれることもあるでしょう。
 美也は、2位で出演するかどうかはわかりませんが、ファイナルデイの枠内にいるわけですから、出演したらアウトレイジ軍の一員にはなるでしょう。そのため、私の投票理由であった「悪役の美也が見たい」という気持ちはある程度叶えられるのではないかと期待しています。
出演しなくても、ファイナルデイ春香がどのような人物であるかを見た上で、たとえば美也がそのナンバー2だったとしたら、どんな役どころになるか想像することもできます。忠実な手下として戦い続けるかもしれません。最後に相対する勢力に寝返るかもしれません。謀反を起こして春香に刃を向けてファイナルデイの座を奪ってしまうかもしれません。
 このように、担当アイドルについて想像し、創作を行う余地は無限にありますし、それを発信するツールも多種多様に存在します。

 私たちがアイドルたちの物語を描くスケッチブックを破り捨ててはいけません。

 なぜなら、私たちがプロデューサーだからです。

 スケッチブックのページをたくさん使って、自分の担当するアイドルのいろんな姿を広めることがプロデューサーの役目です。私は、そういった面をひっくるめて「これからもアイマス」をやっていきたいと思います。


【 #エクマス 】文章系同人誌ならWordでもできる!覚えて便利な原稿制作の操作テクニック

 この記事は、稲本海による、ブログリレー企画「Except imas Advent Calendar 2018」の22日目の記事です。投稿が遅れて23日になってしまいました。申し訳ありません。
 前日の記事は、きりだるまさんによる、「ElmでSPAなサービスを作ったので、そのあたりを整理してみる」です。


 さてみなさん、ここで次の二つの紙面をご覧ください。

(例A)

 

(例B)

 

 だいぶ、見た目が違うと感じられると思いますが……。実はこれ、どちらもMicrosoft Wordで作った紙面です。
 Wordで作れるのは、せいぜい例Aのような紙面だと思い込んでる方は多いのではないかと思います。しかし、Wordでも機能を使いこなせば、結構凝った紙面づくりもできるんです。この記事では、文章系同人誌を製作する際に使えそうな、便利な操作テクニックについて紹介したいと思います。

1.段組み

 原稿を作る際、自分ではない人間が作った原稿のデザインがどんなものかを研究するのは、とても大事な作業だと思っています。研究というと仰々しい言い方ですが、まずは気軽に「雑誌 紙面」というキーワードでGoogle画像検索してみてください。
 検索結果を見ていただくとわかるかと思いますが、多くの紙面が、段組み構造を使用しています。段組みとは、長い文章を書くとき、1ページの中で複数段に分けることをいいます。冒頭の画像ですと、例Aは1段組み(段組みなし)、例Bは文章部分が2段組みになっています。


 

 段組みをする場合、「ページレイアウト」タブ→「段組み」と進みます。2段、3段という選択肢を選択すると、均等な幅で段が組まれます。一番下の「段組みの詳細設定」を開けば、段によって幅を変えたり、段と段の間の間隔を調整したりすることもできます。

 

2.セクション区切り

 セクション区切りは、Wordでの文章作成のバリエーションを一気に増やすテクニックなので、覚えておいて損はありません。

 ちょっと話が脱線しますが、特に日本国内では「Excel方眼紙」という文化があり、パソコン操作に慣れた人ほど、逆にこれに頭を悩ませることが多いですね。
 私は、Excel方眼紙に走ってしまうのは、「Wordは思い通りのレイアウトになってくれないから」という思いが根底にあるからだと思います。Excel方眼紙というか、Excelで作られたビジネス文書には、縦向き印刷のベタ打ちの文書と、横向き印刷の図表、みたいなのが織り交ぜられていたりと、「違うデザインの文書を1つのファイルにまとめたい」という思いが感じられます。Wordは1つの文書ファイルの中では縦印刷と横印刷を混在させることはできない、そう認識しているんじゃないかと思います。
 しかし、セクション区切りを活用すると、それも解決することができます。そのため、同人誌原稿に限らず、仕事で文書を作るときにも活用できるかと思います。

 

 セクション区切りは、「ページレイアウト」タブ→「区切り」と進みます。セクション区切りにはいくつか種類がありますが、今編集しているページの編集を終えて、次のページから新しいセクションに移行する場合は「次のページから開始」、ページの途中で新しいセクションに移行する場合は、新しい位置にカーソルを置いた上で「現在の位置から開始」を選択します。

 セクション区切りを挿入すると、こんなことができます。



 

 セクションによって余白を変えることができます。1ページ目は広く、2ページ目は狭く……というような作りが可能です。

 

 セクションによって段組みの段数を変えることもできます。「現在の位置から開始」と併用すれば、1ページの中に異なる段組みを混在させることもできます。例Bの左ページでは、タイトル部分は1段組み、それより下の文書部分は3段組みにした上で、行程表を入れてある左の段だけ狭くしています。さらに次のページからはまたセクションを区切り、1段組みに戻してから、「表」で画像を挿入しています。

 このほか、印刷の向きもセクションごとに変えることができます。

 

 ページごとにセクションを変えた上で、印刷の向きを変えたいページにカーソルを置いた状態でここを変更すると、1つの文書ファイルで縦向き印刷と横向き印刷を混在させることができます。

3.段落・間隔

 標準のフォントだとなんかダサいから、違うフォントを使おう!と考える方も多いかと思いますが、こういう風になることありませんか?

 

これを解消させる方法もちゃんとあります。

 

 まず、行間が広がってしまった・行間を狭めたい文字列を選択します。次に、「段落」ダイアログボックスを表示させ、「1ページの行数を指定時に文字を行グリット線に合わせる」チェックをはずし、「行間」は「倍数」を選択、「間隔」に1より小さい数値を入力します。倍数を0.7にしてみたら、こんな感じに。

 

 フォントによって適切な倍数の数字が異なるので、いろんな数値を入れて試してみてください。

4.おわりに

 以上、おそらく多くの人がかゆいと思っているところに手が届くであろうWordの操作テクニックについてご紹介しました。高価な編集ソフトを買えば、もちろんWordよりも製作の幅は広がりますが、お金をかけなくてもこのくらいはできるんだよ、ということでひとつ覚えていただければと思います。

 23日はぶてぃさんが担当です!


コミックマーケット95 頒布物情報

 稲本海のサークル「しらゆき創作工房」は、来るコミックマーケット95におきまして3日目(月曜日)西く38bに配置されています。今回の頒布物についてご紹介します!



【新 刊】

旅程崩壊合同
旅はド崩れ 世は無情 総集編
¥1,000

 旅は、いつもうまくいくとは限らない。旅行がうまくいかなかった体験談を集めた合同誌「旅程崩壊合同」。過去三作のエピソードに加え、新規寄稿エピソードを収録した総集編!


どん詰まりRailend
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シンデレラガールズ6thライブ 名古屋遠征記録本
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 12月1日から2日にかけ開催された、アイドルマスターシンデレラガールズ6thライブ「MERRY-GO-ROUNDOME!!!」。ライブ参加のために敢行した名古屋遠征の記録です。



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2018/8/12初出
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うみねこレールと赤い鬼
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うみねこレール八戸市内線」の愛称がある八戸線の八戸~鮫間にスポットを当てた一冊。各駅や周辺の紹介や、廃線跡探訪、新型車両デビュー日の様子も掲載!



【#imas_この曲語らせて】トキメキの音符になって――巧妙に仕組まれた「隠れ転調」

 この記事は、稲本海による、ブログリレー企画「#imas_この曲語らせて Advent Calendar 2018」20日目の記事です。

 前日の記事は、kureyaPさんによる、「Trust Me」の紹介でした。Trust Meは現地参戦したSS3Aの2日目で初めて聴いたわけですが、まず後ろの画面にタイトルが表示された瞬間の「新曲だ!!!」っていう高まり、そしてその後ぶっ放されたラップを含む激熱の曲調に高まり、さらに終わった後「これを茄子・日菜子・光が歌ったということは、これを安部菜々が歌うってことだよな!?やばくね!?」っていう高まり、と3段構えの高まりを得られた曲でした。

 さて、今回私が取り上げる曲は、アイドルマスターミリオンライブ!より、「トキメキの音符になって」です。

トキメキの音符になって
 歌:箱崎星梨花(CV:麻倉もも
 作詞:rino
 作曲・編曲:岡本健介
 収録CD:THE IDOLM@STER LIVE THE@TER PERFORMANCE 02

 このブログリレー企画では、主に歌詞に注目して、歌っているアイドルのキャラクターとの関連性について語ったものが多いかと思いますが、私はあえて、この曲の音楽的な構造についてお話してみたいと思います。

 テーマは、「巧妙に仕組まれた『隠れ転調』」です。


1.1.そもそも「調」とは何なんですか?(Please Please help me)

 はじめにおことわりをしますと、ここからの説明はたぶん音楽的には正確ではないと思います。あくまで、この記事を読むために都合よく解釈した説明だということを念頭に置いてください。
 音楽の素養がすでにある方、もしくは、説明は読むのが面倒なので、結論見てなんかすげーこと言ってる!っていう雰囲気だけ感じたい方は本題に飛んでもらって結構ですw

 実は、ほとんどの音楽において、曲中で使う音は原則7種類しかありません。
 7種類とは何か?そう、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シです。

(図1)

 ここで鍵盤を見てみましょう。黒い鍵盤を含めて、ドからシ(そして次のド)までを1鍵盤ずつたどってみると赤い矢印の通りになります。
 一方、音名の通り白い鍵盤だけをたどると、青い矢印の通り、2鍵盤ずつ進むことになりますが、ミとファの間、シとドの間には黒い鍵盤が無いので、1鍵盤だけ進むことになります。
 つまり、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ(そして次のド)と奏でるとき、ドを基準位置として、そこから進む鍵盤の数が「2→2→1→2→2→2→1」の順で並んでいるのです。

 ここでようやく「調」の話をします。「調」というのは、「鍵盤上での基準位置を決めて、あとは2→2→1→2→2→2→1で鍵盤が進むように7つの音を選択したパッケージ」です。

 もう一度鍵盤を見てみます。ここから、ラをAとして、そこからアルファベット順に進む呼び方で説明します。

(図2)

 「ド=Cを基準位置として2→2→1→2→2→2→1で進むパッケージ」に該当するのは黄色で示した鍵盤です。この場合、基準位置になっている音をパッケージ名=調の名前として、「C」と呼びます。

 じゃあ、Dを基準位置とした調「D」はどうなるでしょう?

(図3)

 2→2→1→2→2→2→1と進む中で、黒い鍵盤を起用することになります。

 続いて、黒い鍵盤に基準位置を設定してみましょう。Bの半音下に当たる鍵盤、B♭を基準位置とした調「B♭」がこちらです。

(図4)

 このように、基準位置をCではないところに変えると、どこかで黒い鍵盤を使うことになりますね。

 ここまで鍵盤上での音の進み方を見て感じていただけたかと思いますが、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シが持つ「2→2→1→2→2→2→1」の並びをそのままに、上や下に平行移動してるだけなんですよね。

 というわけで、簡単にしようと思ったけどやっぱり若干くどくなってしまった「調」の説明でした。

1.2.転調って何なんですか?(ry

 先ほど、「調」を「鍵盤上での基準位置を決めて、あとは2→2→1→2→2→2→1で鍵盤が進むように7つの音を選択したパッケージ」と定義しました。
 「転調」というのは、曲の中で調、つまり、それまで使っていた7つの音入りパッケージから、別のパッケージに変えることを言います。

 多くの方が「転調」でイメージするのは、「最後の大サビでメロディラインがそれまでよりちょっと高くなる」パターンだと思います。ミリオンライブ!の曲ですと、「虹色letters」が思い浮かびますね。

 この曲は、「E」の調で始まりますが、クライマックスの「君といた… 君といた」のところで、2回目の「君といた」から「F」の調に変わります。鍵盤1個分、半音だけ上に平行移動しています。

2.トキメキの音符になってに仕組まれた「隠れ転調」

 さて、ようやく本題の「トキメキの音符になって」の話に入ります。「虹色letters」のようなパターンを転調だと思っていた方にとっては、え?この曲転調してるの?と疑問に思うかもしれません。しかし、この曲にも転調が隠れています。しかも、何度も。

 始まりの調は「D♭」。結構黒い鍵盤を多く使う調です。

(図5)

 これが、サビから「E」に転調しています。鍵盤上では基準位置が3つ分も上がっているんです。

(図6)

 そして、1番サビの終盤、「運命だったらどうしよう」のところから、調が「D♭」に戻ります。
 次の転調は2番サビ。1番と同じくサビから「E」に転調します。
 サビが終わったあと間奏に入りますが、ここからしばらくは「E」のまま。間奏の途中でギターが入ってきますが、ここからまた「D♭」に戻ります。
 ラスサビは再び「E」、そして1番サビと同様「見つめ合えたら嬉しいの?」からは「D♭」となり、曲が終わります。
 ということで、この曲は「D♭」と「E」を何度も何度も行き来する構造になっているんです。

 でも、転調したことには気づきにくいですね。それはメロディラインの作り方がうまいからなんです。

 1番のBメロからサビにかけてのメロディラインです。

(図7)

 Bメロの最後の音「の」は、A♭。サビの最初の音「ぜん」は、G♯。お気づきでしょうか。書き方が違うんですが、これ一緒の音なんですよ。メロディラインは同じ音を2つ続けてるのに、裏でちゃっかり転調しているんです。

 1番のサビ終わりのメロディラインです。

(図8)

 ここは転調前後のメロディの音が異なりますが、転調後の最初の「うん」、A♭になっています。転調後の「D♭」のパッケージの中にはA♭が入っています。転調前のパッケージは「E」、この中にはG♯が含まれています。はい、これもさっきと同じ。一緒の音です。転調前のパッケージと転調後のパッケージ、両方に共通して含まれている音を持ってくることで、大きく調が変わった!という感じを出さずに、こっそりと転調しているんですね。

 というわけで、ごちゃごちゃと書き連ねてまいりましたが、「トキメキの音符になって」は、「巧妙に仕組まれた『隠れ転調』」が存在しているのでした。

3.転調が意味するもの

 最後に、なぜ隠れ転調を仕組んだのか?ということについて私なりの考えを述べて終わりたいと思います。

 全体を総括すると、この歌は、他のところは「D♭」でサビだけが「E」です。サビだけに違う調を使っているということは、歌詞にもきっとサビだけ何かが違うのかも、そう思って改めて歌詞を見てみました。サビの歌詞に含まれているフレーズをいくつか抜粋してみます。

「恋もする?」「笑っていたい」「どうしてなんでしょう?」
「言ってみたい」「特別(ふたり)とか?想像しちゃうよ」
「君のせいかな?」

 こう見ると、疑問形、ないしは願望の内容が多く、今においては不確定な要素について語られているような感じです。
 一方、AメロやBメロでは「ノートに書いておこう」「ルールは守ります」「頑張るって楽しい」など、明確に行動について表現しているフレーズが含まれているため、不確定要素が多いサビの歌詞とは趣が違いますね。
 この違いを、曲でも転調という形で表現したのではないかと考えています。D♭よりEの方が相対的に高い調になりますので、不確定要素だからこその浮遊感というものも表現されているのではないでしょうか。

4.おわりに

 ということで、合唱暦約10年、一端の音楽畑の人間として、詞だけでなく曲の観点からもアイマス楽曲を分析してみるということをやってみました。詞の一つ一つの言葉に意味があるように、曲も一つ一つの音符、それらが集まって出来上がるメロディ、使われている調、それぞれに意味があります。そういったことを感じ取りながら楽曲を聞くと、今までよりももっと楽しめるのではないでしょうか?

 明日は、伊藤伸恵さんの「羽ばたきのMy Soul / 秋月涼の歩んだ道について。」です!


弘前りんご同人祭に参加しました

 弘前りんご同人祭、お疲れ様でした。ここまでの2回は一般で顔を出していたのですが、今回初めてサークル参加してみました。

 昨日、コミケの当選が出たので、コミケのスペース情報を載せたペーパーを配りました。本を買ってくださった方に一枚ずつあげました。ということはつまり、残ったペーパーを数えれば何人が買ったかがわかってしまいますね?
 数えた結果ですが、ぶっちゃけると買っていただいた方の人数は少ないです。これは、来場者層と頒布物内容がマッチしてなかったことが要因だと思っています。 ただ、じゃあ少ないからダメだったかというとそうではありません。

 イベントのWebサイトに載ってるカットを見て面白そうだと思ったから来たという方、八戸在住で見覚えのある景色が見えたからと八戸線本買った方、いな本海MAD見てた方…等、私が今回のイベントに参加したからこそ手に取ってもらえたんだ!と強く思える場面があったからです。
 会場でたまたま見かけて、いいなと思って買うっていうのは同人誌即売会の大きな魅力だと思うので、そういう事例を生み出すことができた点では嬉しく思います。

 数年前、「東方ABC」という、各地の即売会に合わせた日程で行われた東方アレンジ3サークル合同のライブツアーがありました。3サークルはみんな「同人サークル」なわけで、だからこそホームグラウンドである即売会に合わせてツアーが行われたのです。
 でも、その中で唯一即売会がなかったのが弘前公演。でも、なんとか弘前でも即売会を!というところから開催にこぎつけた。それが弘前りんご同人祭のはじまりでした。そういう経緯があるから、私は弘前りんご同人祭を大切にしたい即売会だと思っているんです。ライブに人がたくさん来て盛り上がることももちろん悪いことではないのですが、即売会も同じくらい楽しんでもらえたらなあ、と願うところです(欲を言うと、即売会一般参加の入場料がもうちょっと安ければ…と思いますが…)。

 地元のイベントがより楽しく、より足を運びたくなるものになるよう、私も可能な範囲で努力したいです。

 改めまして、本日参加の皆様、お疲れ様でした。

SS3A感想 後編 ―― 前橋市コラボが克服した、地方都市のお店が抱える課題

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS SS3A Live Sound Booth♪」に参加された皆様、お疲れさまでした。
 前の記事では、ライブイベントそのものの感想について述べました。この記事では、本公演開催にあたり実施された、前橋市とのコラボレーションについて、その感想を述べたいと思います。

 私は、以前、前橋市に仕事の関係で訪れたことがあります。しかし、そのときに受けた前橋市の印象もあり、私はこんなツイートをしていました。

 ところが、SS3Aの開催が近づいてきたある日、突然、前橋市とのさまざまなコラボレーション内容が発表されました。瞬く間にインターネット上は沸き立ち、ライブ開催期間中の前橋市内の盛り上がりもすさまじいものでした。ライブ直後の前橋市長の記者会見でも、それについて述べられていましたね。

 前橋の地元民から見た今回の盛り上がりの感想については、以下のはてな匿名ダイアリーの記事に端的にまとまっています。実際のところ、地元民でも街に何もないと感じていたようですし、その上で、今回の盛り上がりが素晴らしいものであったことがうかがえます。

 地元にシンデレラがやってきた

 さて、私も青森市という地方都市の住民なわけですが、同じく地方都市である前橋市の今回の様子を見て、地方都市のお店が観光において抱える課題が何なのか?というヒントが見えてきたように思います。

 東京のような大都市圏で、人が集まるお店について考えてみると、テレビでの紹介、SNSでのバズり、SNSでのバズりを受けたインターネットメディアによる紹介、紹介とバズりの連鎖……というようなことが起きているように感じます。店の名前で検索すれば、どんなものが売っているのか、店内の様子はどうか、店はどこにあるのかといった情報にすぐ到達できます。実際に店に行けば、人が集まっているので、その時点で店に入ることに対する抵抗感というものはなくなります。
 一方、地方都市のお店について考えてみると、いくらいい商品を提供するお店であっても、メディアへの露出が少ない、インターネットで取り上げられることもない、お店の名前で検索して食べログを見ても、住所と電話番号しかわからず口コミがひとつもない、定休日の記載もないから行く日にやってるかもわからない、あげく、実際に店の前まで来ても、通りに面した店のドアはすりガラスで店内の様子は窺えない、店外にメニューもないから価格もわからない、こういう状態では、店に入ることに対する抵抗感が消えません。
 地方都市のお店が抱える課題というのは、このように、事前に知ることができる情報が限りなくゼロであることだと思うのです。実際は「何もない」というのは間違いで、魅力的なお店がたくさんあるのかもしれないけど、情報が入ってこなければ、「何もないように見えてしまう」のです。

 その上で、前橋観光コンベンション協会が作成した「前橋まちなかMAP」(リンク先2018/9/17まで有効)を見てみます。オモテ面は、細かなネタを仕込みつつアイドルの配置までこだわったという地図。小さな吹き出しをつけて、できるだけたくさんのお店について紹介がされています。裏面は、前橋市内の豚肉料理店の一覧。私も含め、多くの方がこれを見て初めて「前橋市は豚肉推しの街」だということを知ったのではないでしょうか。こういう書き方をされると、だったら前橋市内で何かしら豚肉料理を食べよう、という気持ちになってきますよね。このMAPは、さまざまなお店についての情報が、いまどきの役所が使いがちな言葉で表現すると「ワンストップ」でわかるものに仕上がっているため、前述の課題を克服することができたものと思います。

 今回の前橋市の事例については、私がここで述べたこと以外にも、シンデレラガールズというコンテンツが持つ文脈を生かしたりだとか、そういうさまざまな要素が複雑に絡み合った結果だと思いますので、簡単に真似してうまくいく、というものではありません。壮大なボリュームであっただろう準備活動、それを見事に結実させた前橋市および関係者の皆様、お疲れ様でした!