ミリオン7thライブを見て――私がライブに欲していたもの #imas_ml_7th

 「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 7thLIVE Q@MP FLYER!!! Reburn」に参加された皆様、お疲れさまでした。両日LVではありましたが私自身久々のアイマス現場参加ということで、思うところも色々あったため、ブログに書いておこうと思います。

 あ、ちなみにこのブログですが、ニコニコのサービスであるブロマガがサービス終了してしまうことを受け新設したものです。ブロマガの終了が撤回されない限りは今後こちらを使用します。

 まず何よりも良かったことは、「ライブが開催されたこと」それ自体です。
 刻々と変化する状況、一部方面では開催前日に突然会場借用の中止を言い渡されるといった事例も発生するなど、イベント開催には強い逆風が吹き続けている中、今回のライブは開催されました。ライブの開催実現は、演者の皆さんはもちろん、関係スタッフの皆さまが当日に至るまで綿密に実行してきた体調管理や各種準備の賜物でありましょう。もちろん、当日幸運にも現地のチケットがご用意されたプロデューサーの皆様、そしてLVのプロデューサーの皆様にも同じことが言えます。全員の尽力があってのライブだったことは間違いありませんし、その尽力には感謝してもしきれません。

 ここから、いつものライブ感想記事だと、あの曲が良かったとか、あの演者さんのパフォーマンスが良かったとか、具体的な内容についてつらつら書き連ねるところですが、今回そのへんはいろんなバックボーンをより深く理解しているであろう先輩プロデューサーの皆様におまかせすることにします。

 その代わり、「私はなぜライブが好きなのか」という問いに対する答えが、今回のライブで見えてきたように思うので、今回はそれについてお話しすることにします。 

 これは私の史上初のアイマス現場となったシンデレラ4th、SSA公演のLVを見た日のツイートです。初めてアイマスのライブというものを目の当たりにした私は、演者の皆さんのパフォーマンスはもちろんのこと、客席を埋め尽くすプロデューサーの皆さんの姿にもこのように感動を覚えたのです。「俺達は舞台装置」というフレーズも見かけますが、客席のプロデューサーの皆さん込みで、ライブというものが仕上がっていくのだということを強く実感しました。
 これ以降、私はアイマスライブ現地参加をしたり、プロデューサーが集まるマストドンインスタンスim@stodonに参加するなどして、アイマスをきっかけとした人間関係を広げていくことになるのですが、そのうちに、客席を見るときの新たな視点が生まれることになります。

 プロデューサーにはそれぞれの「担当アイドル」が存在し、特にその担当アイドルが輝いている光景を目の当たりにしたときには、とりわけ心を動かされ、時に叫び、時に涙を流します。そういうプロデューサーの姿を見ると、私自身もなんというか「幸せのおすそ分け」をもらっているような気がして、嬉しさが芽生えるようになりました。

 こうしてライブのたびに幸せのおすそ分けをもらっていた私ですが、最後に参加したアイマス現場は2020年2月のシンデレラ7th大阪公演。5つのブランドがあり、ほとんどのブランドが毎年数公演のライブをしているアイマスというコンテンツに寄り添っていながら、1年3ヶ月が空くというのはかなり大きなブランクです。

 このブランクの間にも、配信などで演者さんのパフォーマンスを見られる機会というのは設けられていましたが、正直あまり食指が動かず、視聴することもほとんどありませんでした。
 特に今年1月のシンデレラの新年ライブを見ようともしなかったことは、自分の行動選択であるにも関わらず自分自身にショックを感じて、私はもうアイマスに対しての情熱がなくなっちゃったのかな、とも思いました。以下の記事の言葉を借りるとすれば”推し疲れ”状態になってしまったのかな、と。

 しかし、今回のライブに参加してわかりました。私は、アイマスに対しての情熱がなくなったり、推し疲れ状態になっていたりしたのではなかったようです。

 みんなが楽しんでいる姿を直接自分の目で見ること。
 そこから幸せのおすそ分けをもらうこと。

 私は、これらを欲していたのでした。

 配信ではコメント欄を通じて多くの人が同時に視聴していることはわかりますし、リアクションもある程度はわかるのですが、どうしてもコメントの文字だけでは伝わるものに限界があります。
 アイドルや演出に応じた色のサイリウムを振る。ここぞというところででUOを一斉に焚く。担当情報の供給に叫び、泣き、崩れ落ちる。そういう光景を直接自分の目で見るというところが肝だったんだと、気付かされました。
 今回のミリオン7thにおいては、声を出せないという制約がありながらも、今までのライブと同じように、そうした瞬間をたくさん目の当たりにすることができました。だからこそ、いいライブだった……という感想を抱けたのだと思います。

 引き続きライブ等のイベント開催には強い逆風が吹き続けていますが、私はもちろんのこと、多くの皆さんが今回のライブ開催を本当に喜びました。今後も可能な範囲での開催があることを願ってやみません。そのためにも、必要な対策や健康管理を入念に行っていきましょう。それも、プロデューサーさんの大事な仕事です。

【エクマス2020】私のネトラジ16年史

 この記事は、ブログリレー企画Except imas Advent Calendar 2020の11日目の記事です。
 前日の担当は、ミサイルさんです。




 さて、本日12月11日は、稲本海のニコニココミュニティ「Radio Shirayuki」創立記念日です。創立からもう11年、ナンバリングした放送回数は234回、枠数は649枠にもなります。しかし、私のインターネットラジオ放送の歴史はこれよりももっと長いのです。

ネトラジの始まりは「ねとらじ」から

 私が初めてインターネットラジオの放送に手を出したのは、このコミュニティ創設から遡ること5年、2004年のことです。
 当時参加していた鉄道ファンが集まるチャット(これもまた歴史を感じるツール名ですね)で、「ねとらじ」を利用して生放送をされてる方がいらっしゃいました。これに影響されて、自分もやりたい!と思い、試験的に数回の収録型放送を行ってから、生放送デビューしました。
 鉄道に関するニュース記事を読むコーナーや、いくつかのヒントから当てはまる駅を連想するクイズコーナーなどを毎回用意していたほか、放送で使うBGMやジングルは自らがすべてMIDIで打ち込んだものを使用するなど、今振り返ってもかなりこだわった作りだったなあと思います。
 この生放送は、私が大学受験を迎えるにあたって終了することになりましたが、それでもこの時点で3年近く続けていたことになります。


(個人運営だった「ねとらじ」は、私が放送をしていた頃にライブドアに吸収され、私が離れた後には知らぬ間にFC2に移っていましたが、私がここで放送をしていた証拠が未だに残っていました。デジタルタトゥー恐ろしや。)

 無事大学に合格し新生活を始めた私は、2008年夏に鉄道音MAD「大変な途中下車シリーズ」作者という新たな肩書きを持つことになります。作品のおかげでそれなりに皆さんに名前を知ってもらえた2009年春、私は再びラジオ放送を始めました。


 この動画形式のラジオを8回まで投稿した後、ニコニコプレミアム会員となり、2009年12月11日に自分のニコ生用にコミュニティを設立、現在に至ります。

交友関係を広めてくれたニコニコ生放送

 私がニコ生を始めた頃は、ニコニコ動画の鉄道界隈ではかなりニコ生が盛んでした。私以外にもたくさんの方がニコ生を放送をしていましたし、同時期に普及し始めたTwitterの存在も相まって、鉄道系生主とそのリスナーを中心にインターネット上の交友関係が大幅に広がった時期でもあります。
 今でも、この頃に知り合った方々の多くとお付き合いがあります。知り合った当時には未成年だった方も成人し、オフで一緒に酒を飲む仲間になりました。コミュニティ創立11周年であること考えれば、この方々とも10年近くのお付き合いがあるわけで、そのくらい長い付き合いの知人がたくさんできたということは、とても幸せなことだと思います。

16年間しゃべり続けられるのは才能かもしれない

 ニコ生11年、前身のねとらじなんかも含めればほぼ人生の半分に当たる16年もインターネットラジオをやってるわけですが、結局「しゃべるのが好き」それに尽きると思います。この記事だってそこそこの文字数になってますし、とにかく私は文字でも音声でも自分のお話をアウトプットしたくて仕方がない人間なんでしょうね。

 その上で、若干おこがましくもありますが思うのは、個人枠を取って、1時間半くらい、1人でしゃべり続けられるのっていうのは、実はそこそこの才能の一つであるのではないか、と。
 最近のニコ生では、ゲストをお迎えしてオタク語りをしてもらう「おたくカンケイ」という企画をやっていますが、「出演してみたいけど自分はこんなにしゃべれない」と尻込みしてしまっている方が結構見られます。出演したゲストの方からは「自分はそんなにしゃべりがうまくはないけど、稲本さんがアシストしてくれたから大丈夫だった」という光栄な感想を頂いたこともありましたが、これもひっくるめて考えると、自分で自分のしゃべりたいことをしゃべるっていう行為は、多くの方にとって、私の想像以上に難しいことなのかもしれません。そういうわけで、逆説的に、多くの方にとって難しいことをできている自分には才能があるのかも……と自惚れているわけです。
 とはいえ、その自惚れもそんなに悪いものじゃないと思っています。
 私も30歳を超えましたので、今から新しいことにゼロからチャレンジするのは難しくなることでしょう。そこで、今自分が得意としてできることを最大限に活用して物事を進めていきたいという意味で「できるを、楽しむ」を当面のテーマとしているわけですが、インターネットラジオでしゃべるというのはまさにこれにあてはまりますし、それで問題なく楽しめてるので、ヨシ!っていうことです。

 というわけで、今日は現在のニコ生から遡り、私のインターネットラジオ史についてお話しいたしました。
 ついでに宣伝ですが、オタクと会って話せなくて寂しいからニコ生に読んで話す企画「おたくカンケイ」は、引き続きゲストを募集中です。みなさんの趣味語り・推し語りをお待ちしております。ご興味のある方は、Twitterのリプライ等でも結構ですので、お気軽にお声がけください。



 この記事は、ブログリレー企画Except imas Advent Calendar 2020の11日目の記事です。
 明日の担当は、フェンリルさんです。


6年ぶりの途中下車シリーズ作品公開にあたって

なんで作ったの

 2020年3月14日、東日本大震災以来一部区間で不通が続いていた常磐線が、ついに全線再開を果たしました。震災当時仙台に住んでいた私にとっても、この全線再開は非常に感慨深いことでした。
 しかし、世界中を混乱させているかのウイルスのせいで、全線再開に伴う一連の式典も中止されることが事前に発表されていました。ウイルスに関する暗い話題ばかりが目立ち、それに影響されてか自分のメンタルの状態が悪くなる一方であったため、私は思い切って、全線再開翌日の3月15日から、1泊2日で常磐線を乗り通す旅に出かけました。再開日の14日の雨模様とは打って変わって青空だった2日間。いわきでは、アクアマリンふくしまや石炭化石館といった観光地を巡った後、友人と会って飲み、夜は湯本の温泉宿に泊まるという行程で、大変良い気分転換になりました。
 ただその後、ウイルスを取り巻く状況はさらに悪化。大規模イベントは次々と中止となり、外出の自粛が叫ばれる昨今。せっかく回復した私自身の気持ちもまた落ち込むこととなりました。しかも、もう気分転換で出かけるということすらできない状況です。

 そんなときに、ふと、これを作ろうと思い立ちました。

 じっと家にこもっているだけの退屈な時間を、何か有意義に使いたい。
 本当はもっと盛大に祝われるはずだった常磐線の再開を、私も祝いたい。
 放送の音声を曲に乗せていき、出来上がったトラックに動画を付けていき、少しずつ作品が形になっていくのを見ていると、ワクワクした気持ちが湧いてきました。
 インターネットにおける私の表現の嚆矢であったこのジャンル。このジャンルにこうして心を救われるときが来るとは、驚いたものです。

作ってみてどうだったの

 およそ6年ぶりに途中下車MADを作ったわけですが、自分で作ってても、刻みをやらずに、もともとのセリフの一文字一文字を音符に乗せていくスタイルになっていくあたりが「やっぱりこういう作風なんだなあ」って感じです。
 動画については、このジャンルの最近の流行りであるキネティックタイポグラフィ的なものを取り入れたいなと思って作りました。もともとのトラックの長さがあまりないので、ごく一部にとどまりましたが、いい練習になりました。
 最後のE657が走るところはグリーンバックのMMDを出力して、これをAviUtlでクロマキー合成したものです。モデルはRailsimプラグインなんですが、作者さん(https://ryotec.dousetsu.com/)の利用許可範囲が大変寛大でしたので、それに甘えてMMDに取り込んで使用させていただきました。
 AviUtlの使い方が少しずつ分かってきたところで、PCのスペックが格段に向上したので、昔に比べると結構凝った作りの動画が楽に作れるようになりました。せっかく獲得した技術なので、何か別の活用機会を模索したいですね。

てかお前社会人になったからもう辞める言うとったやんけ

 動画に「社会人になってもまだ未練がましく作ってるんだな」というコメントがありまして、なんと私の8年前の発言を覚えていらっしゃる方がいたということで、それほどまで長く私に注目していただけているというのは大変ありがたいことですね。
 8年前、私は社会人になるにあたって、それまでニコニコ動画公開していた鉄道音MAD、いわゆる大変な途中下車シリーズ作品をすべて削除しました。
 私の作品は、多いものでは1万再生以上されており、多くの皆様から親しまれていた一方で、デリケートな存在というか、ほぼブラック寄りのグレーの存在というか、そういう性質のあるMADを公開していることに、当時私はなんとなく後ろめたい思いを抱えていました。社会人になるにあたって、もしかしたらこうしたMADの作者であるという事実が、自分の(リアルにおける)社会的立場に対する脅威になる可能性を過度に恐れて削除したというのが、実際のところです。
 しかしこの8年の間に、ニコニコ動画やMAD動画を取り巻く環境というのはだいぶ変わってきたように思います。音MAD動画作者がその技術を生かして映像会社に就職したり、実在の歌手を音素材とした人力VOCALOID動画がその歌手本人サイドに捕捉されて、そのうえ歌手本人の歌唱動画が出たりするという事例があります。MADがほぼブラック寄りのグレーの存在であることには変わりないのですが、そうした中でも、MADも自由な創作活動のひとつとして、必ずしも「全面的に悪なもの」とはならない環境になってきたのかな、と個人的に感じています。
 今回作品を公開したのは、以上のような環境の変化を私が感じた、というのも一つの理由です。
 私からの説明はここまで書いてきたとおりであります。私に対して批判的なコメントを書き込むことができる場である動画を8年間にわたりお待ちいただいていた皆様もいらっしゃいますが、動画を公開してからの再生数やマイリスト数の伸び、Twitter等での反応を見ますと、今回の作品公開を好意的に受け取ってくださった方が大多数だと感じています。今後不快に感じるコメントがありましたら、更にコメントで反論したりせずに、視聴者の皆様各自でのNG設定等で対応していただければと思います。

で、結局お前復帰すんの?

 今回は、自らも経験した震災、そこから鉄道路線の復旧というシチュエーションですとか、ウイルス禍による世の中の暗いムードですとか、それに伴う自分のメンタル悪化ですとか、さまざまな要素が絡み合って、一種の気まぐれで作品の公開に至ったものです。そのため、今後継続的・定期的に作品を公開していこうという意志は特にありません。
 とはいえ、前述の通り、こうした作品に対する後ろめたい気持ちみたいなものは軽減されたので、また何かの気まぐれが起こることはあるかもしれません。そのときはまた、温かく見ていただければと思います。


【#ベベカレ2019】シャイニーカラーズの楽曲は、「おいしい音」の詰め合わせ

 この記事は、ジョンべべベント・カレンダー 2019の21日目の記事です。前日の記事は、やこさんの「風野灯織はどこ住み?です。アイドルの出身地考察とか居住地考察は、地理オタクの私としても非常に興味深いテーマでした。

 さて、今回の私の記事のテーマは

シャイニーカラーズの楽曲は、「おいしい音」の詰め合わせ

 アイドルマスターの歴史は楽曲抜きに語ることはできません。昨年からTHE IDOLM@STER MUSIC ON THE RADIOという番組も始まったこともあり、10年以上にわたって様々なタイトルで続くアイマスという枠組みの中で生まれた楽曲、それらに横断的に触れられる機会もできました。今回はその中でも、アイマスの中で最も新しいシャイニーカラーズの楽曲について、音楽理論的な観点から良さを語りたいと思います。

 テーマにもあるように、ポイントとなるのは「おいしい音」です。ここでの「おいしい」は、特に芸人さんがよく使うような、「おもしろさを引き受ける立ち位置にあること」という意味です。音楽の中にも、「この音があることによって、曲の面白さや感動が生まれる!」という場面が多々あり、それはアイマス楽曲も例外ではありません。中でも、シャイニーカラーズの楽曲は、比較的シンプルで、あまり奇をてらわない王道の作り方をしているものが多い(※個人の感想です)ため、それゆえに「おいしい音」の出現が目立ちますし、効果的なのです。

 この記事を読む前に、以前のブログリレー企画の記事【#imas_この曲語らせて】トキメキの音符になって――巧妙に仕組まれた「隠れ転調」を読んでいただきますと、より理解が深まるかもしれません。

 前置きが長くなりましたが、早速実例を紹介していきましょう。

Spread the Wings!!

 まずはシャイニーカラーズ最初の全体曲であり、代表曲とも言えるこの曲から。コールになりがちなカッコ書き歌詞や、PPPHを入れやすい長音符主体のBメロなど、これまでのアイマス全体曲と同様、楽しく親しみやすい曲になっています。この曲で取り上げたい「おいしい音」はこちら。

 サビの最後の部分にあるこの音です。
 曲を作るときには、原則としてその曲の「調」=「7つの音のパッケージ」に含まれる音を並べていきます。しかし、時々そのパッケージに含まれない音(半音上げたり下げたり)を使うことがあります。そういった場合には、上記のように、音符に臨時記号を付加して表現します。臨時記号のついた音は、その楽曲の調から外れているので、聞き手に対して、緊張感や不安定な印象を与えます。しかし、不安定な時間があるからこそ、早く安定な状態になりたい=曲の先の方を聞きたいという気持ちが生まれますし、安定に戻った時に感動が生まれるのです。こういった展開を音楽理論ではよく「解決」と表現します。特にシャイニーカラーズの楽曲には、この解決が用いられているものが多く存在します。
 しかも「Spread the Wings!!」のラスサビ、”可能性「で」”のところで、この不安定な音がなんと数倍の長さになります。その長い長い不安定が終わった後の解決には、これまでよりも大きな感動があるのです。

ヒカリのdestination

 イルミネーションスターズ3人の掛け合いが印象的なこの曲。「おいしい音」もそんな掛け合い部分に出現します。

 同じようなメロディの繰り返しなのですが、真乃が歌う部分にだけ臨時記号がついています。「Spread the Wings!!」と同じ、調から外れた不安定な音です。臨時記号を使わずに単純に繰り返しでもいいのですが、あえてこうして変化をつけているという点、さらに、3人が合わさって歌うところで不安定状態が消え去って解決になるという点、これらが感動を生む要素になっています。
 ちなみに、こういう音は歌うのが結構難しいです。これをバシっと決められる真乃役・関根瞳さんの歌唱能力の高さがうかがえる部分でもあります。

ハピリリ

 続いてはアルストロメリアの「ハピリリ」です。アルストロメリアの楽曲は比較的におしゃれな作りで、その分若干構造が複雑です。

 赤丸の音は、調から外れた不安定な音。次の小節で解決します。
 さらに、青丸のついた小節に注目しましょう。楽譜の上にあるアルファベットの記号は「コード」といい、簡単に言うと曲のその部分の裏オケではどんな和音が奏でられているかというのを表現したものです。特にギターを弾く場合には、このコードを見ることで、どの弦のどのへんを押さえるのか?というのがわかります。
 この小節では、歌の音はすべて同じF=ファなのですが、コードが途中で変わっています。変わった後のB♭mというコードには、実はこの曲の調にない音が含まれているため、とても良く目立ちます。裏オケも細かく見ていくと、楽曲に変化をつける要素が散りばめられているんですよ。

夢咲きAfter school

 とにかくコールがたくさんあって楽しい、放課後クライマックスガールズが歌うライブの花形曲。実はその楽しさも、綿密に計算された音楽的な構造があってこそのものです。

 この部分の歌の音には臨時記号がなく、不安定要素がありません。しかし、青い四角で囲った部分のAというコード、これにはこれにはこの曲の調にない音が含まれています。そうした不安定な状態がなんと3小節もの間続きます。そしてその後に入ってくるものこそ、小宮果穂の「なんばーわ゛ん゛っ゛! 」。しかもここは裏オケは無音。不安定な状態から一気に解放された瞬間に差し込まれる小宮果穂の力強い叫びに、聞き手は強い感動と興奮を覚えるのです。

Ambitious Eve

 1stライブで新曲として披露されて大きな感動を生んだこの曲。一度聞いただけで、サビから転調するところに惚れ込んだのですが、今回この記事を書くにあたって音を拾ってみたところ、その緻密な構造に感動しました。

 Bメロからサビに移る転調部分を抜粋しました。注目してほしいのは緑色で囲んだ部分です。ここには臨時記号のついた音符が一つもありません。Bメロからサビに移行する際に転調するけれど、両方の調に共通した音だけを使っているんです。だから、ここに不安定さを感じることもないし、ものすごくスムーズに転調が行われたという印象を受けるんですね。しかも、Aメロ・Bメロは短調(暗い音楽の調)なのに対し、サビは長調(明るい音楽の調)になるので、この転調より一層の爽快感が生まれるのです。

おわりに

 長々と御託を並べてまいりましたが、この記事で伝えたいのは、歌というのは、詞ももちろんだけど、曲も感動を生むように綿密に設計された上で作られている、ということです。
 みなさんが歌を聞いていて、なんとなーく、「ここすき」って思う部分があると思いますが、そういう部分を理論的に分析していくと、実はこういう「おいしい音」がそこかしこに隠れていたりします。
 また、「おいしい音」の使い方には作曲家ごとに共通するクセみたいなものがあります。自分好みの「おいしい音」が含まれる楽曲に出会えたら、その作曲家さんが作った、他コンテンツの楽曲を聞きに行ったりするのもまた一興かもしれません。

 明日の担当はまつたけんさんで、テーマは「活動記録2019_白菊ほたる編です。熱心な白菊ほたる担当であるまつたけんさんにとって、白菊ほたるにボイスが実装されたこの2019年は激動の年であったことに違いありません。どんな活動報告になるのか楽しみです!


12/23は、Radio Shirayuki 冬コミ宣伝放送!

12月23日 22:00より放送するRadio Shirayukiは、毎度恒例「冬コミ宣伝放送」。
来る年末に開催されるコミックマーケット97にサークル参加される方々をゲストにお迎えし、頒布物の宣伝をしてもらいます。

今回の宣伝放送から、以下の点について変更がございますので、ご注意ください。

【変更点1】
告知用画像サイズの変更
これまで:640px*480px(4:3)
今回から:800px*450px(16:9)
※4:3サイズでも表示は可能ですが左右が余白となります。

【変更点2】
通話ツールの変更
これまで:Skype
今回から:Discord
出演の表明もDiscordで受け付けます(コミュニティ掲示板への書き込みは不要です)。

★Discord導入の流れ
①Discordをダウンロードします。
https://discordapp.com/

②Discordをインストールします。
https://www.lenonnon.com/entry/discord/howto
その際、マイアカウントにメールアドレスを設定してください。
上記ページにある「プロフィール設定」を参照。

③「Radio Shirayuki」サーバーに参加します。
https://discord.gg/9eeHBb3

④テキストチャンネル「出演待機所」に、
 出演を希望する旨の書き込みをお願いします。



⑤出演時に使う画像は、
 稲本海にDiscordのダイレクトメッセージとして送信してください。


稲本海のアイコンを右クリックし、「メッセージ」を選択。

稲本海へのダイレクトメッセージ送信画面が開きます。


メッセージ記入欄の左側にある、丸で囲まれた+マークを押すとウインドウが開きます。
画像、または画像をまとめたZipファイルなどを選択すると送信できます。



【たんあいがたり】ロコのアイドル&アートライフとアンチェンジドなマインド

はじめに

 この記事は、やきゅさん主催のブログリレー企画「たんあいがたり -natsu-」8月25日分の記事となります。
 前日は、Shio_Pさんの木下ひなたのお話でした。ひなたって実は結構努力家なんですよね。そこがまた、応援したくなるポイントの一つです。

 今回取り上げるのは、アイドルマスターミリオンライブ!の伴田路子もといコロちゃんもといロコです。ちょっとひねくれた話をするつもりであること、また、私がミリオンライブ!にハマったのはシアターデイズからであり、以後の文章はすべてシアターデイズでのテキストを根拠に記述されていること、以上2点をご留意の上、読み進めていただければ幸いです。

ロコとは

 さて、先に結論から申し上げます。



 ロコとは、どのような人物でしょうか?



 私は、「承認欲求を抱えた寂しがり屋の女の子」なんじゃないかなと思います。


ロコのアイドルライフのスタート

 ロコは、もともと765プロダクションのアイドルライブを見に来ていた観客の一人であり、アイドルに興味を示していたロコに対し、プロデューサーが名刺を渡してスカウトしたところから、ロコのアイドル人生が始まります。



 これがロコをスカウトしたときの彼女の言葉ですが、どちらかというと上から目線な感じもあります。ロコは、自分の制作するアート――“ロコアート”には大きな自信を持っており、自分と自分の作るアートが一番、それ以外は二番、三時のおやつは文明堂というような態度を取ることもありました。しかし、その自信の脆さが露呈する瞬間が訪れます。それがロコのメインコミュです。

 センター公演を前に、ステージパフォーマンスがうまく進まないことに落ち込み、自信をなくします。それに追い打ちをかけるように、制作していたロコアート=自分の自信の塊が壊れてしまう始末。悪い状況が重なり、美也と昴に八つ当たりをしてしまいます。だけど、それを見かねた千鶴に窘められ、ロコは結果的に無事センター公演を成し遂げます。公演後のロコは、こう話します。


 それまで一人での活動だけに自信を持っていたロコですが、この公演を通して、他のメンバーと協力して活動することの楽しさを感じ取ったのです。

コーポレートするロコ

 これ以降のロコは、他のメンバーに対して協力を仰ぐという行為に積極的になります。


 「月曜日のクリームソーダ」では、レトロという概念をうまく理解できずにいた桃子に、アイデアを引き出す手助けになるような衣装スケッチを渡し、桃子を始め他のユニットメンバーからどんどんとアイデアを引き出すことに成功します。


 「Fruity Love」では、茜がパーソナリティを務めるインターネット番組の制作にあたり、大量のプリンを食べながら茜とじっくり相談し、さらに、亜利沙にカメラマンを、奈緒構成作家を依頼するという、それぞれの得意分野が生きるような采配を披露します。

 さて、こうして他のメンバーとの協力関係も構築し、楽しく豊かなアイドル&アートライフを謳歌しているように見えたロコでしたが、「Fruity Love」のこの先のコミュに、ロコの本当の姿が現れます。

アンチェンジドなマインド、リアルなロコ

 茜から依頼された番組マスコットの製作に行き詰まってしまったロコ。落ち込んでいるロコを見かねた茜は、ロコに対して無理をしなくていいと気遣いを見せるのですが、これが逆効果になってしまいます。


 アーティストなのに、よりによってアート作品の依頼に応えられなかったという情けなさ。他のメンバーと協力するようになったからこそ、他のメンバーに対して顔向けできないことに対して引け目を感じるようになってしまったんですね。




 そして、(言葉の行き違いですが)無理してマスコットを作らなくても良い=ロコアートがなくても成立する。それはすなわちロコアート自体への否定になってしまいます。


 そしてここに、我々はロコの本当の姿を垣間見ます。


 ロコにとってはロコアートこそが自己を表現する手段であり、ロコアートを通して、自己を理解して欲しいという承認欲求を持っているのです


 ここまで、他のメンバーとの協力という点について述べてきましたが、この承認欲求は、常に根底にあるままだということが、言動の端々から見えてきます。




 SSR[ロコナイズミュージック♪]ロコの衣装コミュです。アートを見てもらえた嬉しさを語り、アートは見てもらえてこそ価値が向上すると語っています。


 「月曜日のクリームソーダ」公演終了後のブログでは、みんながロコのフィーリングをわかってくれることに対して喜びを感じていることが伺えます。


 SR+[UNI-ONAIR]ロコのSSR+化後のメールでは、プロデューサーに対して、新たなロコアートの素晴らしさをわかってくれることを期待しています。


 ロコの出自についてはあまりゲーム内で語られることがありません。
 だけど、もし、アイドルになるまでの間、自分のアトリエにこもり、一人キャンバスに向かい続けていたとしたら、他人と会話する機会に乏しかったかもしれません。また、他人との会話が少ない分、あまり人から褒められたり認められたりした経験も乏しいのかもしれません。
 それでも、自分のアートには絶対の自信を持っていたから、いつかどこかの誰かが自分のアートを、そして自分自身を理解してくれる――そう思って生活していたところに、プロデューサーが現れ、アイドルの世界に飛び込んだ。そして、アイドルの世界に飛び込んだことにより、自分のアートが見てもらえた。他の人と協力することでアートのクオリティに磨きがかかった。アートを通して、自分自身を見てもらい、理解してもらうことができた。
 しかし、「無理してマスコットを作らなくても良い」発言によりそこまで積み上げたものが一気に崩されてしまったんです。

 結果的には、ただの言葉の行き違いで、茜ときちんと話し合ったことで解決に向かったわけですが、これ、実際ロコの内面ではかなりの危機的状況だったのではないか、とちょっと怖くなります……。

 ちょっと暗い話になってしまいましたね。

 でも、ロコはその危機を乗り越えることができました。

 危機を乗り越える強さが得られたのは、それまでの楽しく豊かなアイドル&アートライフがあったからに違いないでしょう。そうして強くなったロコは、これまで以上にインスピレーションを爆発させ、アイドルでありながら、企画・制作側にも積極的に関与していきます。


 そうした“ロコナイズ”中のロコは、笑顔に溢れ、とても生き生きしています。これからも彼女が生き生きとアイドル&アートライフを謳歌できる環境を作ってあげること、それがロコのプロデュースなのだろう、と思います。


パーソナルなシンパシー

 最後に、個人的な共感について。
 私は昔からやたらと他人からどう思われるかを気にするタイプの人間でした。人に嫌われることをとても恐れていました。何か自分が褒められること、認められることが欲しいと思っている人間でした。私が定義づけたロコの特徴。それは私自身に共通するところがあります。だからこそ、なにかほっとけないという気持ちが芽生えたのかもしれません。
 また私は、これまで様々な同人誌を製作し、幸いなことにこれまで多くの皆様にお手にとっていただいております。ふと考えると、こうして私がやってきた同人活動の過程って、ロコのアート発信の過程と一緒なのかな、という気もしてきます。同人活動やってる最中の私も、“ロコナイズ”中のロコと同じように、とても生き生きしています。こういった点も、ロコに惹かれる要素になったのかなと思います。

 明日は、ロコ担当の先輩Pである鳩さんことろころこさんによる、同じくロコのたんあいがたりです。ドントミスイットです!



【たんあいがたり】緒方智絵里と一緒に過ごした時間の長さ

はじめに

 この記事は、やきゅさん主催のブログリレー企画「たんあいがたり -natsu-」8月15日分の記事となります。

 前日は、フェンリルさんの「ミリオンライブと僕と横山奈緒の話」でした。ホムラジで渡部優衣さんを先に知ってから横山奈緒を知ったという流れ、実は私も一緒です。

 さて、今回私が取り上げるアイドルは、シンデレラガールズ緒方智絵里さんです。普段あんまり話題に出さないんですけども、実は一番最初のP名刺に描いたアイドルは智絵里だったりします。

 はじめてのP名刺に描くアイドルとして智絵里を選んだのは、ほかでもなく、アイドルマスターの中で一番最初に気になったアイドルだからです。なぜ、一番最初に気になったアイドルが智絵里だったのか?ということについて、この記事ではお話をして参ります。もしかすると、ちょっと変わった経緯かもしれません。

ファーストコンタクトはデレアニ

 私がアイドルマスターの世界にハマるきっかけになったのは、アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」です。ゲームの存在は知っていましたし、周囲にシンデレラガールズをプレイしてる人もいたので、どんなもんなんだろうな、という気持ちで、その時のクールで視聴するアニメの一つ、くらいのテンションで見始めました。

 アニメ第2話で、いわゆる「シンデレラプロジェクト」の面々が登場することになり、私はこのときはじめて緒方智絵里というアイドルの存在を知ります。
 ニコニコ動画で、コメント機能をONにしてアニメを視聴していた私。智絵里がはじめて画面に登場したときに、多く流れたコメントは「天使」でした。おとなしめですごくいい子、という感じの印象。可愛らしい声。小動物感というか、愛でたくなるような感じ。あー、確かに天使という印象はあるな、かわいいな、という思いを抱きました。

スターライトステージの始まり、智絵里と過ごす時間の始まり

 それから時は流れ、ゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」の配信が開始されました。もともと音ゲープレイヤーだった私は、このゲームの登場により、更に深くアイドルマスターの世界へとのめり込んでいくわけですが、このゲーム内での智絵里が持っていた「ある特徴」によって、私は智絵里のことが気になっていくのでした。
ある程度ゲームを進めていくと、スタージュエルが溜まってきます。そこで私は10連ガシャを回してみることにしました。
 そして引き当てたのがこのカード。

[冬のメロディー]緒方智絵里 です。

 あー、アニメにも出ていた智絵里のカードが来たぞわーい、くらいの気持ちでしたが、このカードが持っていた「ある特徴」がその後のゲームプレイに重大な影響を及ぼします。それがこちら。



 そう、このカードの特技は「ライフ回復」なのです。

 いくら元々音ゲープレイヤーだったからといっても、ゲームが変われば操作感も変わります。そして、デレステはライフ制の音ゲー。ミスをするとどんどんライフが減ってライブが途中終了してしまします。慣れておらずミスが重なるうちは、ライフを回復する効果を持ったカードを使用することが必須になります。
 そんな中でやってきたこの [冬のメロディー]緒方智絵里 は、SRゆえにNやRよりもライブスコアの向上にも寄与しますし、なによりライフ回復効果を持っています。序盤の手持ちカードが少ない局面において、このカードをメンバーに加えてライブに取り組む機会は圧倒的に多くなりました
 ライブに入れる回数が多いということは、親愛度の上昇も自然と速くなります。親愛度が上昇すれば、親愛度上昇セリフだったり、メモリアルコミュだったりと、智絵里に関するテキストの量が増えていきます。親愛度MAXで特訓を行えば、きらびやかな衣装に身を包んだ智絵里の姿を見ることができますし、またさらなるテキストに出会うこともできます。

 最初は気弱で、アイドルのオーディションを受けることもやめようとしていた智絵里が、少しずつ強くなって、アイドルとして輝きを増していく姿。カードが持っていた効果が要因となり、ゲーム内で智絵里と過ごす時間が長くなっていった結果、どんどんと智絵里が持つ魅力を目の当たりにすることになったのです


 [冬のメロディー]緒方智絵里 は、現在デレステ内で持っているカードの中で一番古いカードとして、今でも大切にしています。
 もし、智絵里のSRが回復持ちじゃなかったら?もしくは、違うアイドルの回復持ちカードが先に来ていたら?気になっていたアイドルは変わっていたかもしれませんし、はじめてのP名刺にも別のアイドルが描かれていたかもしれません。そういった意味では、ある意味運命の出会いをしたのでしょうか。

 明日は鳩さん、こと、ろころこさんの担当になります。紹介アイドルは脇山珠美、そして彼女が所属するユニット「可惜夜月」とのこと。珠美もまた愛でたくなるアイドルですよね。

可惜夜月に潜む脇山珠美という少女について - ろころこブログ~ロコを添えて~